らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

1353. 二足の草鞋を履いて疲れてるの。

Scenario: 歌のオーディション番組を見ていると、挑戦者の中に高校で科学を教えている先生がいた。科学を教えながら、歌手として様々なイベントで歌っているという。審査員に絶賛され、最終選考まで残っているのだが、本業との両立が大変で、優勝したら、歌を職業とて、学校で教えることを辞めたいと言っていた。


「二足の草鞋を履くのに疲れたの。」



"I'm exhausted leading a double life."



【ポイント】日本語の「慣用句」が似合う英語表現。


今日のフレーズは、本来の"a double life"を比ゆ的に使った、あるシンガーのひとことからです。


「二足の草鞋を履く」とは、「両立しえないような二つの職業を同一人が兼ねること。」(goo辞書より)です。


「慣用句」に関しては、その国や地方の文化から生まれたものなので、英語と日本語の表現の間にギャップがあることが多いです。同時に、意味している内容が共通している場合もあり、うまく会話の中に取り入れると、シャレた表現ができる場合があります。


今日の"a double life"もそのひとつで、「二重の生活をしている」という英語表現を、日本語で「二足の草鞋を履いている」と表現してみました。


実際の"a double life"のロングマンの定義は次のようなものです。


"double life"
if someone lives a double life, they deceive people by having two separate homes, families, or sets of activities, one of which they keep secret

2つの別々の家庭、家族、または一連の活動を持っていて、そのうちの1つを秘密にして、人々を欺いていること


動詞は、"lead"か"live"を使います。



She had no idea that her husband was leading a double life with another woman.
彼女は、夫が他の女性と二重生活を送っていることなど全く知らなかった。


本来は、相手をだますような生活や、詐欺のような行動を指すことにもなりそうな表現です。しかし、今日のフレーズの中のシチュエーションでは、単に「二つの生活を同時にこなしている」つまり、「二足の草鞋を履いている」といった日本語の慣用句に近いニュアンスがありました。


この他、
英語表現として、


"double-jobbing"や、"wear several hats"などがありますが、それぞれ、次のような定義があります。


"double-jobbing"  (マクミランより。例もです。)
having two paid jobs in the same field, especially when both are considered to be full time
同じ分野で有給の仕事を二つ持ち、特に両方がフルタイムとみなされる場合に使う



Northern Ireland Secretary Owen Paterson vowed to crack down on double-jobbing politicians who are paid to sit in Parliament as well as the devolved Belfast institution.
北アイルランドのオーエン・パターソン大臣は、議会とベルファストの分権機関の両方で報酬を得ている二重就労政治家を取り締まることを宣言した。


"wear several hats" (Collinsより。例もです。)
to function in more than one capacity; fill two or more positions
2つ以上の職務をこなすこと。つまり、2つ以上のポジションにつくこと



He wears two hats, serving as the company's comptroller as well as its chief executive officer

会計監査役と最高経営責任者という、2つの役職についている。


どちらも英語のニュアンスは、同じ職場で2つ以上の肩書を持ってそれぞれから賃金が支払われるのは良くないというニュアンスで使われています。「生活」よりも「仕事」に関する表現のようです。



【ポイント2】「同族目的語」の表現。


日本語では、「歌を歌う」と言いますが、「歌」と「歌う」が同族です。
He sang a beautiful song.
これも同族表現と言えます。



今日のフレーズは、


"lead a double life"ですが、これは、"live a double life"とすると、同族となります。


本来の自動詞が他動詞として使われたときに同族目的語をとるものがあります。


He slept a troubled sleep.(=彼は寝苦しさを感じて寝た)
He laughed a bitter laugh.(=彼は苦笑いした)
He died a painful death.(=彼は苦しんで死んだ)
He dreamed a strange dream.(=彼は変な夢を見た)
He walked their walk and talked their talk.(=彼は彼らのように歩いたり話したりした)

(Wikipediaより)


これらの表現は、副詞などを使って別の言い方をすることができます。


He lived a happy life. → He lived happily.


リズムや音を意図的に楽しむような文語的な言い方、書き方をするときに使えば効果的でしょう。


同族目的語を使って、ちょっと文語的な文を作ってみましょう。
できたらコメント欄で送ってね。


明日は、「ワンランク上のライティング編」です。
読んでね。

Englishラボのらぼでした。