1407. ライティング編:ワンランク上の表現にする英語[19]---話法を使いこなす。(前編)
「話法」には、直接話法と間接話法があります。学校の英語のテキストではかなり後ろの方に載っています。最近のテストでは、「直接話法」から「間接話法」への書き換え問題はほとんど出されません。しかし、ライティングで「話法」を使いこなすことができれば、全体の文章のランクが上がること間違いなしです。
今回は、3回に分けて、ライティングでの「話法」の技法をお伝えします。
今日は「前編」として、「直接話法と間接話法の違いとその使い分け」、そして、「間接話法の書き方の一例」を取り上げます。
まず、お手本となる、ネイティブが書いた日記を見ます。
ニューヨークタイムズの、「メトロポリタン・ダイアリー」に掲載されたものです。取り上げる部分に番号をふってみましたが、今日は赤字にした①と⑥に注目しています。
(分かりやすいように、一文ずつ改行してあります。)
It was December 2018, and I was walking through Bedford-Stuyvesant after a job interview when my phone rang.
It was a man from the company where I had just interviewed.
2018年12月のことでした。私は就職の面接の後、ベッドフォードスタイベサントを歩いていました。そのとき、電話が鳴ったのです。
それは私がさっき面接を受けた会社の人からでした。
① He asked if I could update my résumé.
② The layout was wrong and some of the text I had included as part of my profile was superfluous, he said.
① 彼は私の履歴書を新しく書き直してほしいと言いました。
② 配置が間違っていたり、履歴の中に書いた部分にいくつか不要な事項があったりしたと言うのです。
I didn’t have a computer and hadn’t even found an apartment yet and ③ he needed a final draft within the hour.
Desperate, I entered the public library on Franklin Avenue near Hancock Street.
私はコンピュータを持っていませんでしたし、住むところも決めていないのに、③1時間以内に新しい履歴書が必要だと言うのです。
大慌てで、私はハンコックストリート近くのフランクリンアヴェニューにある図書館に駆け込みました。
④ The woman at the front desk said that I couldn’t use the computers without a library card and that I couldn’t apply for a card without an address.
⑤ When I explained the dire nature of my situation, she stood up from her computer.
⑥ “Use mine,” she said.
④ フロントデスクの女性は、図書館利用カードなしではコンピュータは使えない、そして住所が決まっていないとカードの申請ができないと言いました。
⑤ 私は自分が置かれている切迫した状況を説明すると、彼女はコンピュータの前から立ち上がりました。
⑥「私のを使うといいわ。」と彼女は言いました。
As she and the people who were lined up waiting to check out books cheering me on and offering to review my work, I edited the document and fired it off.
Nine months later, I was working in my dream job.
彼女と本を返すために並んでいる人々は私を応援して、履歴書の見直しをしてくれました。私は文書の編集をし、送信ボタンを押しました。
9ヶ月後、私は夢に見ていた仕事をしていました。
【ポイント1】直接話法と間接話法の違い。どちらを使うか?
直接話法とは?
人が、「 」と言いました。
という形で書くものです。「 」の中は、言った人の口から出た言葉をそのまま書きます。その場にいるような感じを読み手に与えます。また、真実を伝える目的でジャーナリスティックな内容によく使われます。
間接話法とは?
「 」を使わず、話し手が言ったことを伝える書き方です。「 」内の文の種類や時制によって、様々な部分を変える必要が出てきます。
本文を見ると、会話の多い内容でありながら、直接話法を使っているのは、⑥のみです。
⑥ “Use mine,” she said.
これは、とっさに彼女が言った一言の臨場感あふれる生き生きした語調を伝えるのに効果を発揮しています。
ここの部分を、間接話法を使って書くと、
She told me to use hers.
彼女は私に彼女のを使うよう言いました。
または、
She suggested (to me) (that) I should use hers.
彼女は私に彼女のを使うよう勧めてくれました。
という書き方も考えられます。
“ ” の中が命令文になっているので、前者の動詞は"said"ではなく"told"になります。要請や頼み事の場合は、"asked"を使って「頼んでいる」ことを表します。
"tell"は、「"tell"+人+to不定詞」の形になります。
後者の"suggested"の後の "to 人" は、上の場合の様に"that"節の主語として現れる場合は省略されることが多いです。また、"that"は省略することができます。
"suggested"も使えます。この動詞は提案を表す動詞ですが、
他に、"recommended"や、"proposed"など、提案、要請を表す動詞なら何でも使えます。
ただし、これらの動詞を使った場合は、"that"節を続けて、その中に"should"を使うことになります。この"should"は省略可能な助動詞なので、後ろの原形動詞のみが残ることがあります。
She suggested (that) I (should) use hers. のように。
"suggested"は過去形ですが、that節の中は時制にかかわらず常に"should"が必要になるので、"should"が省略されても、"used"にはならず、"use"のままとなります。
また、⑥は直接話法で書かれています。生き生きとしたセリフが伝わってきます。間接話法を使うと報告的になります。
作者は、この時のひっ迫感を伝えたくて、直接話法を効果的に使ったのだと思います。
【ポイント2】"said"が、"asked if"になる場合。
本文①の場合
直接話法では・・・
He said, "Could you update your résumé?"
彼は、「あなたの履歴書を新しく書き直していただけますか?」と言いました。
となるのですが、間接話法で書くと、
「彼は履歴書を新しく書き直してもらえないかと言ったのです。」
となって、子供っぽさのない文になります。
「~かどうか尋ねた」と、疑問文であることを示すためには、"ask if"を使うことになります。
⇩
① He asked if I could update my résumé.
間接話法したときの変更点をまとめると次のようになります。
said ⇒ asked
疑問文 ⇒ 普通文の語順になり、「~かどうか」とするために、"that"ではなく、"if"という接続詞を使います。
your ⇒ my
さらに、
間接話法で重要になってくるのは、「時制の一致」です。
She said, "Do you want to see him?"
彼女は、「彼に会いたい?」と言った。
なら、
She asked if I wanted to see him.
彼女は私が彼に会いたいかどうか聞いた。
となり、実際に言った"want"は、"asked"の時制に合わせて、"wanted"となります。
もし、
She said, "Did you buy the ticket?"
彼女は、「チケット買った?」と言いました。
という文なら、実際の会話で使われた"Did you buy ・・・"は
She asked if I had bought the ticket.
彼女は私がチケットを買ったかどうか尋ねた。
と過去完了を使って、チケットを買ったのが、"asked"の時点より前であることを示します。
今日はここまでにします。
話法が学校の授業で生徒に嫌われ、ネイティブでさえ会話では別にどうでもいい、と思う内容だということが分かりますね。( ´艸`)
ここでは、あくまでも「ワンランク上のライティングをめざすなら」という目的ですので、悪しからず・・・。
中編は明日書きます。
"TRY"は説明が全部終わってからにします。説明が足りないことがあるかと思いますが、ここまでで、何かご質問があれば、コメント欄で送ってね。
皆さんのライティングがワンランクアップしますように!
Englishラボのらぼでした。
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