らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

1408 ライティング編:ワンランク上の表現にする英語[20]---話法を使いこなす。(中編)

昨日の続きになります。


一般に英語教育における文法となると、「弊害だ」、「いつまでたってもしゃべれないのは文法を気にするせいだ」と言われます。それはその通りだと思います。


しかし、英語圏の日本語学習者が、いわゆる「テニオハ」や日本語の時制を完璧に使いこなしていると、かなりレベルの高い日本語を習得したという印象を持ちます。英語にもそういった上のレベルがあるなら、それを目指したいと思います。


さて、昨日は、直接話法と間接話法の違いと、その使い分け、そしてそれに伴う単語の変換について書きました。


今日は中編として、話者が伝えたい内容が2つある場合について見てみたいと思います。取り上げるのは、前回同様、ニューヨークタイムズのメトロポリタンダイアリーから選んだ英文の②と⓸の文です。


説明に使っている英文は、ニューヨークタイムズの「メトロポリタン・ダイアリー」から引用しています。このコラムは読者から寄せられたダイアリーなのですが、最終的には編集者のチェックが入っています。



It was December 2018, and I was walking through Bedford-Stuyvesant after a job interview when my phone rang.
It was a man from the company where I had just interviewed.


2018年12月のことでした。私は就職の面接の後、ベッドフォードスタイベサントを歩いていました。そのとき、電話が鳴ったのです。
それは私がさっき面接を受けた会社の人からでした。



① He asked if I could update my résumé.
② The layout was wrong and some of the text I had included as part of my profile was superfluous, he said.


① 彼は私の履歴書を新しく書き直してほしいと言いました。
② 配置が間違っていたり、履歴の中に書いた部分にいくつか不要な事項があったりしたと言うのです。



I didn’t have a computer and hadn’t even found an apartment yet and ③ he needed a final draft within the hour.
Desperate, I entered the public library on Franklin Avenue near Hancock Street.


私はコンピュータを持っていませんでしたし、住むところも決めていないのに、③1時間以内に新しい履歴書が必要だと言うのです。
大慌てで、私はハンコックストリート近くのフランクリンアヴェニューにある図書館に駆け込みました。



④ The woman at the front desk said that I couldn’t use the computers without a library card and that I couldn’t apply for a card without an address.
⑤ When I explained the dire nature of my situation, she stood up from her computer.
⑥ “Use mine,” she said.


④ フロントデスクの女性は、図書館利用カードなしではコンピュータは使えない、そして住所が決まっていないとカードの申請ができないと言いました。
⑤ 私は自分が置かれている切迫した状況を説明すると、彼女はコンピュータの前から立ち上がりました。
⑥「私のを使うといいわ。」と彼女は言いました。



As she and the people who were lined up waiting to check out books cheering me on and offering to review my work, I edited the document and fired it off.

Nine months later, I was working in my dream job.


彼女と本を返すために並んでいる人々は私を応援して、履歴書の見直しをしてくれました。私は文書の編集をし、送信ボタンを押しました。
9ヶ月後、私は夢に見ていた仕事をしていました。




【ポイント】話し手が言った2つのことを一つの文で伝えるワザ。


本文④の日本語は次のようなものでした。


④ フロントデスクの女性は、図書館利用カードなしではコンピュータは使えない、そして住所が決まっていないとカードの申請ができないと言いました。


この場合、「カードなしではコンピュータは使えない」「住所が決まっていないとカードの申請ができない」と2つのことを"said that"の中に入れなければなりません。


そういう時は2つのことを"said"にかけなければならないので、後ろの文の始めに"that"を入れます。これで2つのことを言ったことになります。

④ The woman at the front desk said that I couldn’t use the computers without a library card and that I couldn’t apply for a card without an address.


この文の場合、始めの"that"は省略できますが、2つ目の文に付く"that"は省略できません



しかし!②では・・・


この作者は、伝えている文が長いため、"He said"を、最後に持ってくるというワザを使いました



The layout was wrong and some of the text I had included as part of my profile was superfluous, he said.


こうすることで、前半部分はひとまとまりになって独立し、実際は省略不可能なはずの2つ目の文の始めに必要なはずの"that"が省略できてしまったのです。


しかしあくまでも間接話法なので、本人が発した言葉通りでないけれど、語り調でまとめることができています。


そして、"the text I had included"のところは過去完了にして、時制をずらすワザも取り入れています。(「時制の一致」については昨日のブログに書いています。)
   


学校のテキストには書かれていないワザでした。( ´艸`))




今日はこれだけにします。


明日で、話法シリーズは終わりです。
"TRY"は説明が全部終わってから書いていただきます。これまでで、ご質問等ありましたら、コメント欄で送ってね。


みなさんのライティングがワンランクアップしますように!


Englishラボのらぼでした。