らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

1345. ライティング編:ワンランク上の表現にする英語[13]--過去完了の使い方。

Context: 天気予報では雨が降ると言っていたのに、出かける時に雲一つなく気持ちよく晴れていたので、傘を持たずに出勤してしまった。帰宅しようとオフィスを出ると雨。かなり降ってきたが、駅まで走ろうと思い・・・。


公園を曲がると、1台のトラックが脇に止まった。



I had just turned at  the park when a truck pulled up.
”Metropolitan Diary"の”Rainy Ride”の一節より。一部改編しています。)



【ポイント1】時制の一致は、ライティングのランクを上げるのに必要なワザ。

学校で、「話法」というジャンルで教える「時制の一致」は、文法を扱っている教科書の後ろの方に出てくる程度で、あまり重要な事項としてとりあげられません。かえって「細かいことをいいすぎる」と嫌われるほどです。テスト問題としてもほとんど出されません。


しかし、ライティングのレベルを上げる上では大切なことが多く含まれています。(ですから、今日のブログは、理論的ですが「ワンランク上のライティング」を目指している場合のことだとご理解くださいね。。。( ´艸`))


さて、


英語の時制を正しく使いたいときはまず、「どの時点を基準に時制を決めているか」を意識します。日本語で、「未来」、「過去」というと、現在の時点を起点として言うことがほとんどです。


未来形の"will"が"would"になる場合、"would"のことを、「"will"の過去形」というと、混乱してしまいますね。
現在の時点で考えた未来なら"will"ですが、「数日前は、そうなるだろうと思っていた。」という場合の「そうなるだろう」は、「数日前」を起点にして考えた未来のことです。その場合に、"will"が"would"になります。


例 
He said (that) the stock would go up the following week.
彼は翌週株価は上がると言った。


He said, "The stock will go up next week."
彼は、「来週株価は上がるよ。」と言った。


会話の場合は、"will"を"would"にしなかったからといって大して問題にしません。しかし、日本語で、「来週」と「翌週」は、日本語の中では自然に使い分けています。


「来週」は、現在を起点にして考えた未来の週のこと。
「翌週」は、過去または未来のある時点を起点にして考えた、次の週のこと。
ですね。
その感覚が英語では、"next week"と"the following week"(または"the next week")になります。


また、「~と言いました。」という文を書くときは、いわゆる、直接話法と間接話法の2通りの書き方があります。
彼は、「私はミルクが欲しい。」と言った。という場合、


He said, "I want some milk."  → 直接話法
He said (that) he wanted some milk. → 間節話法


の2通りがあります。


引用符を使った場合、言った人が言ったことをそのままを書かなければなりません。
間接話法の場合は、いわゆる伝聞形式で、言った内容を伝える文を書きます。この場合に、「時制の一致」、そして「主語の一致」が起こります。


ライティングの場合、ジャーナリスティックなもの以外は、引用符を使いすぎると全体の文章が子供っぽい印象を与えることがあります。


時を表す副詞も、時制に合わせてかえることになります。


He said, "I will be back next week."
彼は、「僕、来週帰るよ。」と言った。

He said (that) he would be back the following week.
彼は次の週に帰ると言った。




【ポイント2】日記を書くときに、過去完了を使って見よう。


日記は、過去のことを書くものです。ですから、過去形を多く使うことになるでしょう。
「過去」は、「現在」より前のことは、すべて「過去」ですから、「大過去」、「過去の前」と言われるのは、過去のある時点を起点に考えて、


そのときにはすでに~だった
そのときまでに~していた
そのときは、そうなるだろうと思っていた


という表現をすることが多くなるのは、日記を書くときの特徴です。


実際の例を"The New York Times"に掲載されている、"Metropolitan Diary"という読者が書いている日記を見ながら過去完了の使い方を検証します。



① 過去完了は、文の流れの中の時間の前後関係をはっきりさせるのに使う。


今日の文は、


I had just turned at the park when a truck pulled up.


です。
「公園を曲がると、1台のトラックが脇に止まった。」という日本語にしました。普通はこの日本語だと、


"When I turned at the park, a truck pulled up."


という英文にするでしょう。


しかし、


"I had just turned at the park when a truck pulled up."


と、過去完了を使った文になっていました。


その効果は?


「作者が雨に濡れて公園を曲がったのを、トラックの運転手が見て、すぐに止まってくれた」という、「作者が曲がった」瞬間と、「トラックが止まった」瞬間のわずかな時間的なズレが、"had just turned"という過去完了に感じられ、その映像が頭に浮かびます。


過去完了をこういう風に使う。それが、今日の「ワンランク上のライティング」です。


実例を見ます。


After wandering through the museum’s galleries for a while, I headed south on Fifth Avenue to meet my friend. The sun had just disappeared behind a large bank of gray clouds, and I was glad I’d brought a sweater.


美術館のギャラリーをしばらくぶらぶらしてから、私は友人と待ち合わせるために五番街を南に向かって歩きました。ちょうど太陽が大きな灰色の雲の影に隠れてしまっていて、セーターを持ってきて良かったと思いました


※ "The sun had just disappeared..." は、「五番街を歩いていた時」を起点にしています。


※ "I'd (=I had) brought a sweater"は、「太陽が隠れてしまった時」を起点にしています。




②過去形と過去完了形を使い分けで、時間のずれをはっきりさせる。


実例1.
By the time we got to Jackson Heights, the train had started to empty out. It was silent except for the keys’ rhythmic jangle.
ジャクソンハイツに着く頃には、電車は空き始めました。聞こえてくる音はリズミカルな鍵の金属音だけでした。


※ By the time we got to Jackson Heights, .....では、"By the time ~"のあと、"we got to...."と過去を使うことで、「ジャクソンハイツに着いた」時点が過去の時点を示すことになっています。「その時点のまえに、電車が空き始めていた」わけです。


実例2.
One man who had been riding the train the whole way put his hand to his heart. “You are a beautiful mother,” he said.
ずっと一緒にその電車に乗っていた一人の男性は自分の手を胸に当ててこう言いました。
「あなたは素晴らしいおかあさんですよ。」と。


※ "put his hand to his hear"(てを胸に当てた)ところで過去形を使い、その人が、「ずっと一緒にその電車に乗っていた」ということをはっきりさせるために、過去完了進行形を使っています。


※ “You are a beautiful mother,” he said.は、自分が聞いたそのままの英語を、生き生きとした感じをだすために(描出話法)、意図的にカッコを使って表現しています。


実例3.
 A skateboard that belonged to a young man slipped and rolled onto the tracks. The board’s owner turned around to grab it, only to see it where it had fallen.


一人の若者のスケートボードが線路にコロコロと滑り落ちたのです。そのスケートボードの持ち主は、とりに行こうと振り返りましたが、結局スケートボードが落ちた場所を見ていることしかできませんでした。


※「スケートボードが落ちた時点」と、「取りに行こうと振り返った時点では落ちていた」との間の時間のずれを、"had fallen"と"turned around"の時制の使い分けではっきりさせています。



③ 過去完了を日本語にするときは、過去形になることが多い。



Two folk singers who appeared to be in their early 20s were strumming guitars and singing a song of emerging love. They said they had composed it themselves as a reflection of their own relationship.


20を少し過ぎたくらいの2人のフォークシンガーはギターを弾いて湧き上がる愛の歌を歌っていました。彼らは自分自身のことを歌にしたと言っていました


※ 時制をずらして表現した方がいいのは、最後の"had composed"のところだけです。



④ 過去形を"and"でつなげば、起こった時間の順番がわかる。


実例1.
A taxi pulled up, but something made me wave it on. I stuffed the bucket into my backpack, loaded the pack onto my back and started walking.
一台のタクシーが止まってくれたけど、なぜか乗るのを止めてそのまま行かせてしまった。そしてその箱をバックパックにしまってそれを背中にしょって歩き始めたんだ。


※ 時間的な差があっても、ただ順番に並んでいるだけなら、すべて過去形で、カンマや"and"を使って、起こった順番に書けばいいだけです。



実例2.
Finding the apartment was very exciting, and I wanted to tell my parents all about it. When I called them, my father, who was quite reserved, answered.
I
told him that I had found a place and gave him the address. He began to laugh.


アパートを見つけるのがとても楽しかったので、一部始終を両親に話したいと思いました。電話をすると、いつも無口な父が出ました。
私は父にアパートが見つかったこと、そしてその住所を告げました。すると父が笑い始めたのです。


※ 過去完了を使っているのは、"I told him that I had found a place...."のところだけです。
「すでに見つけた、ということを話した」からです。



過去完了を使った文を書いてみましょう。
できたらコメント欄で送ってね。


明日は、「」です。
読んでね。

Englishラボのらぼでした。