らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

1867. ワンランク上を目指す英語表現[63]---動詞の"mind"について

今日は、"mind"について少し考えてみました。


まず、"mind"について、4つのことを抑えておきますね。


① 他動詞、自動詞の両方がある。


⓶ 通常疑問文や否定文に使われ、肯定文ではほとんど使われない。


⓷ 会話の中で使われ、ライティングとしては避けられる傾向がある。


これらを基にして、ポイントを整理していきます。


【ポイント1】"mind"の他動詞と自動詞の2つの日本語表現


学校では「気にするな。」は、"Don't mind."ではなくて、"Never mind."だと習ったと思います。実際、"Don't mind."というのは、文法的に間違いではないかもしれませんが、日常生活ではあまり聞きません。


でも、


"Don't you mind? I mind." 「あなたはそれでいいの?私は嫌だわ。」


というような表現は出てきます。


これらの"mind"は、目的語がないので自動詞です。


一方、


"Don't mind it. "「そんなことを気にするな。」


という表現は聞かれます。これは、"mind"に"it"がついているので、他動詞です。


一体、どうしてこういうことが起こるのでしょう。


まず、英語での"mind"の定義をロングマンで確認しておきます。


"mind"
[intransitive, transitive usually in questions and negatives]
to feel annoyed or upset about something

(自動詞、他動詞の両方あり。通常疑問文、否定文で用いられる。)
何かについて困惑したり気分を悪くしたりすること


この定義に従って、"mind"の日本語表現を考える時、


他動詞の場合は「気にする」
自動詞の場合は「気になる」


と2ついうの日本語表現があると考えてはどうかと思います。


他動詞の「気にする」は、「何かが実生活の障害になる」とか「自分の行為が人に変だと思われたり、人に迷惑をかけているのではないか」と考えることで、「自分の心の外のものごと」が原因となる行為です。


何かを気にしている相手に対して、
"Don't mind it. "「そんなことを気にするな。(俺はなんとも思っちゃいない。)」
という会話は成り立ちます。


それに対して自動詞の場合の、「気になる」は「自分の心の中の考え方、感じ方が原因となり、どうしてもそう感じられてしまう。」という「自発」と言われる行為です。


日本語の文法には、「自発の助動詞」というものがあります。動詞の未然形のあとにつく「れる・られる」で、「しのばれる」「案じられる」ごその例です。この(日本語の)「自発の助動詞」には命令形がありません。つまり命令文がないのです。


この「自発」について、ウィキペディアでは、次のように説明されています。


動詞の表現様式で、行為・動作を人が積極的意志を持って行うのでなく、自然にあるいはひとりでに実現する現象・作用のようにいう表現である。


ただ、「自発」の動詞は、このような助動詞が付くものばかりではありません。「好む」はその例です。「好め」と言えないことはありませんが、普通は不自然な言い方で、ワープロに「このめ」と入力しても、なかなか漢字に変換してくれません。


また、実生活では「あなた」を主語にした「自発」の動詞の文(例えば「あなたは好む」)は聞いたことがないので、実際このような文はほとんどないと思います。


「気になる」もそういう自発的行為のひとつではないでしょうか。日本語では「気になれ」という表現はありませんし、目的語のない肯定文で、「あなたは気になる」という言い方はしません。


英語の目的語のない"mind"を日本語表現の「気になる」に非常に近いものと考えると、日常生活の中で、


★ "Don't mind."という表現はなかなか聞かない。(命令文だから)
疑問文の、"Don't you mind?”と 「私」を主語にした肯定文の”I mind." 「あなたは気にならないの?私は気になるわ。」という表現は聞く。


の理由がわかるように感じます。



一方、"Never mind."には次のような特別な定義が与えられています。(ロングマンより)


used to tell someone that it is not important to do or consider something now, often because something else is more important
他にもっと重要なことがあるから、今何かをしたり考えたりすることが重要ではないことを相手に伝えるために使われる


目的語がついても同様です。


Never mind the dishes – I’ll do them later.
皿洗いなんて気にしなくていいからね。後で私が洗うわ。


Never mind how I got here. Tell me what happened.
私がどうやってここに来たかなんてどうでもいいのよ。何があったのか教えて。


Never mind me – what about you? What have you been doing?
わたしのことはいいから。あなたはどうなの?何してたの?


😀"Don't mind ~."を使っても同じことが伝わります。





【ポイント2】なぜ、疑問文や否定文、条件文で使われることが多いのか?


結論から言うと、日本語表現には、「気」を使った表現が多くあり、それが特に、疑問文や否定文、条件文では、状況や言い方によって、直接的な表現を避けることができます。それと同じことが"mind"という「気持ちや心に関する」動詞を使うことによって、英語でもできているのではないかと思います。


"Do you mind?"なら、丁寧な感じで言うと、「気になりますか?」⇒「いいでしょうか?」となり、威圧的に言えば、「問題あんのか?」といった感じになります。


条件文の"If you don't mind,"は、「もし気にならないのであれば」⇒「もしよろしければ」といった意味で使えます。


"I don't mind." は、そのまま、「気になりません。」でいいでしょう。もしくは、「いいですよ。」(私は構いません。)になります。


"mind"では、日本語の「気」を使った表現と同様に、文脈や声のトーンが伝わる意味に関して大きな役割を果たしていると感じました。



【ポイント3】"mind"はライティングでは避けた方がいい。



ライティングで"mind"があまり使われないのは、会話体として使われることが多い、ということが理由のひとつだと思います。ロングマンでは、ライティングの場合、" object to"を勧めています。


Many people do not object to paying higher taxes for better services.
多くの人々は、より良いサービスのために高い税金を払うことに反対しません




"mind"を自由に使って、会話文を考えてみましょう。できたらコメント欄で送ってね。


明日は、「 私が会社に必要な人間だということを見せてやるわ。」です。
読んでね。

Englishラボのらぼでした。