らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

541. 深呼吸して。大丈夫だから。

Scenario: 今日は就職の面接試験の日だ。何としても採用されたい。かなり緊張しているのが分かるのか、母は私が家を出るときこう言った。


「深呼吸して。大丈夫だから。」



"Deep breath, you'll be fine."


【ポイント】意外と「深い」"deep"の使い方。


日本語のカタカナで、「ディープな」というと、どういう意味で使っているのかな?と思うことはありませんか? 何となく「深い」というニュアンスで分かる気はするのですが、英語での"deep"の使い方を整理してみようと思います。日本語では、副詞になるところも、英語では形容詞で表現している文があります。(ロングマン参照)


①「下向きに深い」という意味。


Dig a hole around 12 inches deep.
約12インチの穴を掘って。


In places, the snow was waist-deep.
ところどころ、雪がウエストまで深く積もっていた。


② 「水平向きに深い」という意味。


She was sitting in a deep leather chair.
彼女は革の椅子に深く座っていた。


③ 「厳しい」という意味。


The country is in a deep recession.
その国は厳しい不景気状態にあった。


④ 「息」に関した表現で使う。


Tom gave a deep sigh of relief.
トムはホーッと一息ついた。


⑤  「感情」や、「誠実さ」、「真剣さ」を表す表現で使う。


He has a deep understanding of the environment.

彼は環境に深い理解を持っている。


my deep(est) sympathy  深い同情
her deep affection for him   深い愛情


⑥ 「深みがあって、低い」音を表す。


I love that deep bass line.
あの低い旋律が好き。


⑦ 「暗めで力強い感じ」のする色を表す。


The berries are a deep red colour.
その実は深みのある赤い色をしている。


⑧ 「物事が複雑で、簡単に理解できるものではない」という意味を表す。


These problems are too deep for me.
これらの問題は奥が深すぎて難しい。


⑨ 「眠り」の様子に使う。


He lay down and fell into a deep sleep.
彼は横になって深い眠りに落ちた。


⑩ 「人の性質」表現で使う。


He seems to be a very deep, sensitive type of person.
彼はとてもディープで繊細な人のようだ。
(この「ディープ」は、日本語でぴったりした表現が思いつきません。「奥ゆかしい」ではありません。どちらかというと、「理解しがたい人」といったニュアンスです。)
ロングマンの説明では次のようになっています。
a deep person is serious and intelligent, but is hard to know well
「ディープな人」というのは、真面目でインテリだけど、よくわからない人のこと
  

日本語の「奥ゆかしい」というのは、女性に対して誉め言葉でよく用いられますが、(今では、ほとんど使われない? もしくは使うとかえって嫌味にとられる?)英語でそうした意味で"deep"を使うことはありません。「奥ゆかしい」に含まれている肯定的なニュアンスをもつピッタリした英単語は文化的にないです。この日本語の単語の意味は「奥が深い」のでかなり説明しないと、アメリカ人には理解できないと思います。"graceful"が近いと言った人がいましたが、それだけじゃまだまだ「浅い」なー。


「奥ゆかしい」と近い意味を無理無理考えたのですが、次のようなニュアンスをもつ単語で表せる場合もあるかな。


"modest"  (どちらかというと「自慢しない」といった感じ)
"reserved"  (感情をあらわにしない、抱えている問題を言いたがらない感じ)
"humble"  (謙遜して使うこともあるけれど、実際に社会的レベルが低いことを表すこともある)
"discreet"  (何かをおそれてとても注意深くなっている感じ)


かな。でも、言語は文化なので、ぴったりしたものがないのは当たり前。その辺は、できるだけ詳しく説明してあげましょう。


Englishラボのらぼでした。