らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

943. 負けず嫌いだからね。

Scenario: オリンピックの選手の話題がつきない。幼い頃の映像や、友達や先生へのインタビューが流れて、その選手について聞いたとき、共通して出てくるコメントがこうだ。


「すごく負けず嫌いだったよ。」



"He was very competitive."


【ポイント】「負けず嫌い」は、「負けないことが嫌い」?


日本語表現と英語表現の対照を考えていると、時々なぜそういうのはな、と思う日本語表現に出会うことができます。


アメリカ人の日本語学習者に「負けず」は「負けない」ということなのに、それが「嫌い」ということは、「負けないことが嫌い」→「勝つことが嫌い」となりませんか?と聞かれたことがあります。


「負けず嫌い」が普通の言い方だからそう言ってる、と言う前に調べてみました。
NHK放送文化研究所が出している解説に次のように載っていました。

「負けず嫌い」という言い方が生まれたのには、さまざまな説があります。明治時代には、「負け嫌い」という言い方がされていました。「負けるのが嫌い」という意味なので、まさに本来の表現だと言えます。これと並んで、「負ける嫌い」というものもありました。また、これとは別に「負けず魂/負けじ魂(他人に負けまいとがんばる気持)」ということばもありました。この「負けず魂」と「負ける嫌い」とが合わさったものが、「負けず嫌い」なのではないでしょうか(定説ではありませんが)。


「負けず嫌い」は確かに理屈に合わない表現かもしれませんが、現在ほとんどの辞書に載っている表現であり、これを「間違っている」と決めつけるのは不適切でしょう。


なお「食わず嫌い」ということばは、「食べてみないのに嫌い」という意味ですから、まったく問題ありません。



「負けず嫌い」を"hate to lose"という表現にするとどうでしょう?英語で考えると、「負けるのが嫌い」となり、「誰でも負けるのは嫌だよ。」と言われそうな気がします。


「絶対負けることが嫌で勝つことに執着する」という性格を表すときには、"competitive"という形容詞がとても近いと思います。


マクミランに次のような定義があります。


always trying to be more successful than other people
常に他の人より秀でようとすること

She has a reputation for being a highly competitive player.
彼女はすごく負けず嫌いな選手だという評判がある。


Beth's so competitive, even with her friends.
ベスはとても負けず嫌いだ。友達に対してもね。


"competitive"は、ビジネスの世界で「競合会社」や、「競争が激しい」、「値段が競合している」という意味で使われています。


In such a fiercely competitive environment, it's inevitable that some companies will go out of business.
非常に厳しく競合している環境(競争が激しい中)では、倒産する会社がでてくるのは当然だ。


We offer a wide range of goods at very competitive prices.
我々は色々なものを、他社よりもお得な価格で提供しております。



明日は、「それで行こう。」です。
読んでね。


Englishラボのらぼでした。