らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

977. 何かたくらんでるだろ。

Scenario: 最近、子供たちが妙に「良い子」にしている。いつもは宿題をしないでゲームばかりに熱中していたり、きちんと食事をしないでおやつばかり食べたりしているのに。。。


「何か企んでるでしょ。」



"You must be up to something."



【ポイント1】"must"は、「それ以外選択肢がないでしょ。」


"must"という助動詞は、大きく2つの意味があると学校では教えます。


ひとつは、「~しなければならない」⇒ 義務や命令を表す
もう一つは、「~に違いない」⇒ 推量を表す


です。なぜこんなに違う2つの日本語表現になるのだろう?と思いませんでしたか?


これは、"must"がこの2つの共通のニュアンスである、「それしか選択肢がない」を表しているからだと思います。


ロングマンからの例を見て確認していきましょう。


① 命令のニュアンス


All passengers must wear seat belts.
乗客は全員シートベルトを締めなければなりません
  ⇩
乗客は全員シートベルトをする以外選択肢はないですよ。(法律ですから。)



You must work hard.
一生懸命働かなければならない
  ⇩
一生懸命働くしか選択肢はないよ。(食べていけなくなったら大変だからね。)


「~しか選択肢はない」というほど法律などで決められたわけではないとき、"have to"を使えばいいのです。


② 他に考えられないくらい真実に近いニュアンス。


Sam must be nearly 90 years old.
サムは90歳に近いに違いない。
  ⇩
サムは90歳に近い以外考えの選択肢がないね。


There must be something wrong with the engine.
エンジンが何かおかしいに違いない
  ⇩
エンジンが何かおかしい以外考えの選択肢はないよ。


"must"が「違いない」という日本語表現になるときは、"must be"という形が多いのは、"be"のあとには「補語」がきて状態を表すことになるからです。


You must be hungry.     
お腹が空いているに違いない。
きっとお腹がすいているだろうね。
(君のその状態では、そう考えるしかないね。)


のように。


進行形がくるときも、「違いない」のニュアンスになります。


You must be kidding.
冗談だろう。(冗談を言っているに違いない。)
「君が冗談を言っていると考えるしかないね。」というとらえ方です。



【ポイント2】"be up to"の意味するもの。


"be up to ~"は様々な日本語表現になります。その意味を覚えようとするのは大変です。
しかし、英語で表現しているのは、


「主語になっているものが、ある点まで来ている」


ということです。


ロングマンの例をみて確かめていきます。


① 数や場所・時点で一線を設けている感じ


The Olympic Stadium will hold up to 80,000 spectators.
そのオリンピックスタジアム収容人数は8万人だ。(最大8万人までだ)


 We’ve kept our meetings secret up to now.
今までその会合を秘密にしていた。



② 決定や責任の所在を示している感じ


You can pay weekly or monthly – it’s up to you.
週払いにするか月払いにするか、あなた次第です。


It’s up to the travel companies to warn customers of any possible dangers.
お客さんにあらゆる危険の可能性について警告するのは旅行会社の責任です



③ 合っている感じ


I didn’t think last night’s performance was up to her usual standard.
昨夜の彼女のパフォーマンスはいつものものとは違ったと思う。
(いつものレベルまで達していない。)


The quality must be up to the sample you sent to us.  
品質は当社あてに送られた見本と一致しなければなりません。



④ 何かをたくらんでいる感じ  (口語)


He must be up to something.  
何かたくらんでいるに違いない。
(何かをしでかす直前まで来ている)



その単語や表現を使うということは、その単語や表現が持っている基本的な意味があるはずです。その単語や表現が発するものをキャッチすれば、ニュアンスをつかむことができます。日本語表現が必要ならそれに近い表現を探し、その必要がなければ無理に日本語に変えて考える必要はありません。



明日は、「後でお盆下げに来ます。」です。「下げる」がどういう表現になっているでしょう? 実はそれに合う単語を使わないで表現ができるのです。
読んでね。


Englishラボのらぼでした。