らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

1036. 今度のボスには逆らっちゃだめだよ。

Scenario: 市長選挙が終わり、新しい市長が決まって市役所の中の雰囲気も変わった。私の所属部署にも新しいボスを迎えてのスタートとなったのだが、だれもがこうささやいている。


「今度のボスには逆らっちゃだめだよ。」



"The new boss is not someone to cross."



【ポイント1】"cross"の持つ注意すべき意味。


"cross"は、コアのイメージは「こちら側から向こう側に行く」、「交わる」です。


"cross (over) the road"  は、「道路を横切る」


"cross to the window"   は、「窓の方へ(部屋などを横切って)行く」


になります。


「交差点」は、"crossroads"と一語で複数形にします。比喩的に次のように使う場合もあります。
He was at a crossroads in his career.
彼は仕事の岐路に立っていた。


「横断歩道」は、"a/the crossing"です。


今日のフレーズの"cross"は動詞で次のような意味です。


to make someone angry by opposing their plans or orders
プランや命令に反対して相手を怒らせること

He hated anyone who crossed him.
彼は自分に逆らう人はだれでも嫌った。


日本語の「一線を越える」は、そのまま"cross a/the line"という言い方をしても大丈夫です。単に、「ゴールを切る」という意味にもなりますし、「道徳的に悪いことをする」、「相手に失礼なことをする」という意味にもなるので、使う状況に気をつけましょう。


"cross"には、動物や植物の「かけあわせる」と言う意味もあり、


"cross A with B"   で「AとBをかけあわせる」という表現になるので、人で使わないようにしましょう。



【ポイント2】"someone"の使い方。


"someone"は「誰か」と訳すことが多い単語ですが、すべて「誰か」で置き換えてしまうと日本語が不自然になることがあります。"someone"を使うときには、日本語訳より、"someone"という単語の「役割」を意識したほうがいいです。


その「役割」を3つあげます。


① 「もの」の対極にある「人」を表す。


文法や語法のことを語るとき、主語や目的語に「もの」が来る、または「人」が来ることを示すときに、「もの」なら"something"(略して"sth")、「人」なら"somebody"または"someone"("sth"に対して"sb"=somebody)が使われます。


例えば「人にものをあげる」というときに、"give 人+もの" の順番を示すのに、


"give somebody(someone) something"と書いてあるときは、"somebody/someone"のところに「人を表す名詞や代名詞」を持ってきて、"something"のところに、"a book"のように具体的な名詞を持ってきます。


所有格の場合は、"somebody's / someone's / sb's"のように書いてあるので、その文の中の人称に合わせて、"my/ your/ his/her...."などに置き換えます。


これは、文法や語法の説明のときだけです。


② 単に"a person"の代わりに使う。


今日のフレーズはこれに当たります。日本語で「誰か」という訳を付けているのはこの定義を元にしているのでしょう。(ロングマンより)


used to mean a person, when you do not know or do not say who the person is
一人の人を意味するときに使う。その人は知らない人であったり、あるいはその人が誰なのか特定しないときに使う。


③ 「重要人物」を意味するときに使う。


She is someone/somebody.  (彼女は大した人物だ。)のように、
"be someone/somebody"という使い方をします。
例(ロングマンより)
She was the first teacher who’d made Paul feel like he was somebody.
彼女はポールが自分はすごいんだと思えるようにした最初の先生だった。


英語の歌の歌詞に"someone"はよく出てきますよ。




Lewis Capaldi - Someone You Loved


このLewis Capaldi(ルイス・キャパルディ)の歌の題名は"Someone you Loved"なのです。


歌詞の中に、
I need somebody to heal
somebody to know
somebody to have
somebody to hold

という部分があり、
また、
I used to being someone you loved


というところもあります。


意図して"somebody"と"someone"を使い分けているのか?ただ歌のリズムの問題なのか?


Kygo / One Republic- カイゴ / ワンリパブリックの


"Lose Somebody"
もそうです。



Kygo, OneRepublic - Lose Somebody (Audio)



サビの部分の歌詞は次のようになっています。


Sometimes you gotta lose somebody
Just to find out you really love someone


辞書では、"somebody"も"someone"も同じに扱っているようですが、(辞書によります)特別に「大切」感をこめている「人」のときは、"somebody"より"somone"を使っているように思います。


ここで問題です!


ルイス・キャパルディの歌の中の
I used to being someone you loved
ってどう日本語で訳す?


素敵な日本語にして、コメント欄で送ってね。(全体の内容を理解しないとかなり難しいと思うの。。。)



明日は、「彼に期待しよう。」です。"expect"は使わない言い方です。
読んでね。


Englishラボのらぼでした。