らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

840. 胸を張れ。

Scenario: アメリカ人の夫と結婚し、しばらくアメリカに住んでいたが、夫が日本の会社に転勤になったので、一家で日本に住むことになった。息子は日本の小学校に入学したのだが、日本語がまだうまくしゃべれず、時にはいじめられることも。息子にはいつもこう言って励ましている。


「胸を張って!」 



"Chest out!"



【ポイント】名詞から始まる指示や命令を表す表現。



普通、命令形といえば、一般動詞が文頭に来ます。
しかし、今日のフレーズでは、名詞が文頭に来ています。そして動詞がありません。
このパターンの表現をあげてみます。


Chin up.  顔をあげて。


Hands up.   両手をあげて。


Hands off.  手を離して。


Heads up.  顔を上げて。


Bottoms up.   飲み干して。乾杯!


Pencil down.  鉛筆を置いて。


Eyes on the road! (車の運転で)前を見て。



これらの特徴は、指示や命令なのに動詞で始まっていないところです。



「手を上げて。」で考えてみました。


Raise your hand.  と、


Hands up.


の違いをどう感じますか?


命令だから、なるべく短く伝わるように、"Hands up."は、省略できるところは全て省略した形と取ることができますが、それだけではないようです。


"Raise your hand."は、動詞から始まっているので、「手を上げる動作だけを求めている」感じがするのですが、"Hands up."は、「手を上げて、~をする。」と、何か他の動作がついている感じがするのです。


つまり、"Hands up!"は、「手を上げたままで、動くな。」とか「こちらに来なさい。手をあげたままで。」
と、いったように。


今日の"Chest out."なら、「学校に行きなさい、胸を張ってね。」
"Pencils down."は、「鉛筆は置いて。席を立たないで待っていてください。」


といった具合です。


つまり、


"with +名詞+補語(形容詞や副詞、名詞)" の付帯状況の形を感じるのです。


"Drive your car with your eyes on the road."
”Come here with your hands up."


などの、前半と"with"や"your"が省略された形のように感じられるのです。


"Heads up."はもともと、何かが落ちてくるのに気付かない人に対する警告です。それが他の状況にも応用されて、「悪いことが起きるかもしれない。気をつけて!」という意味で使われています。足下が危ないときの、"Watch out."の「気をつけて。」の違いを感じましょう。


"Time up"は和製英語です。、"Time is up."が正しくて、制限時間が来たことだけを伝えています。


〇 Time is up"
× Time up.
× Times up.
〇 Time's up.


です。



明日は、「私の記憶に寄りますと・・・」です。
読んでね。


Englishラボのらぼでした。