らぼのEnglishラボ

会話やライティングに役に立つ英語表現を様々な角度から紹介しています。

1091. 初詣でに行きましょう。

Scenario: アメリカ留学で親しくなった友人が年末から日本に観光で来ているので、ウチに泊めている。新しい年を日本で過ごし、明日アメリカに帰る友人に、最後に日本の神社を案内しようと思ってこう言った。


「初詣でに行きましょう。」



"Let me take you to a shrine."



【ポイント1】どういう状況で誰に言うかが大切。


「コミュニケーション第一」の会話の世界では、こちらが言いたいことさえ伝われば、その言語のネイティブは、たとえ言い方が間違っていても、いちいち直すことはしません。会話では、間違いを恐れることなくどんどん話すことが最も大切なことですが、同時にできるだけ間違いに気付けば、それを少なくすることも大切なことです。


今日のフレーズは「初詣に行きましょう。」です。


「初詣でに行こう。」
× Let's go to Hatsumode.
であるのはどうしてでしょう?


大きく3つ問題があります。


① "go to ~"は「場所」に行く時の言い方なので、"Hatsumode"が地名であると誤解される。
② "Let's ~"は、相手が何を提案しているのか、その内容が分からない場合に使うと返答に困る。
③ 外国の人にとって、"Hatsumode"という日本独特の習慣の認知度が低い。


日本文化にしかない習慣や単語などは、そのまま日本語で表すことも多いですが、"Hatsumode"は、"Sushi"や、"Tofu"ほど広がっていないので、よほど日本文化に精通している人にしか分からないと思います。


「初詣で」に関しては、次のような様々な表現に出会います。


the first visit to a shrine of the New Year
the first visit of the year to the shrine
New Year's visit to a shrine
などです。


"the"と"a"の使い方は、日本には「重箱の隅をつつくような間違い」と思うことがありますが、ネイティブには実は「とても大切なこと」です。


"the shrine"は、「いつもお参りに行っている神社」で、
"a shrine"は、「多くある神社のひとつ」


といった感覚のように。
ですから、行く神社によって、"the shrine"か"a shrine"か、使い分けたほうがいいのです。


また、"the first visit"と聞くと、年に何回か行くうちの第1回目か、あるいは今までに一度も行ったことがないところに初めて行くのか、どちらかのように感じます。元来の「初詣で」は、神道という宗教のもとで、何回も訪れていた神社に、年頭に初めて訪れる、という意味で使っていたのだと思います。ですから、イベント感覚で行っている現代の多くの人にとって、年に1度、お正月しか行かない場合に、"the first visit"は適当な表現ではないのではないかと考えます。


また、”Let's ~."より、"Let me ~."を使って、「~してあげますよ。」といった丁寧に誘う感じにするといいと思います。すると、「何かしてくれるんだな。」と相手の期待が膨らみます。(^_^)


全く日本のお正月が初めてという人には、


"Let me take you to a shrine." (神社にご案内しますよ。)


と言って、「初詣で」の意味をゆっくり説明してあげるといいと思います。



【ポイント2】日本に興味をもっている人には、日本語で話してあげよう。


ビジネス以外で、日本に興味をもって来ている人には、日本語で話してあげるのがいいと思います。そして、分からないところを英語で説明してあげるのです。



日本に来ている人は、ネイティブの日本語を聞きたいと思っている人が多いです。日本人の英語学習者がアメリカで、本場の英語に触れたいと思っているのと同じです。


ネイティブも日本に興味を持っている人は、ある程度の日本語を勉強してきているはずです。


でも、覚悟しておいてください。日本人は分からないことでも、分かったようにうなずくことがありますが、欧米の人たちは分からないこと、納得できないことは、どんどん「なぜ?」って聞いてきます。そのときに日本語が通じなければ、英語で説明してあげましょう。




というわけで、
「らぼの部屋」では、今年は、シチュエーション、相手、気持ちによって、適切な表現とその使い方を重視して、「日本人の英語だからさ~。」と言われない英語を目指していきます。


ここで問題です!


今日のシチュエーションに続いて、神社に連れて行くことになり、普段は行かない有名な神社に着き、「初詣で」について説明してあげることになりました。
相手が、「へ~、そうなんだ。」と思えるような、フレーズをいくつでもいいですから、考えてコメント欄で送ってね。


Englishラボのらぼでした。